学校案内

ご挨拶

「日々の糧」は朝礼を編集した講話になります。順次更新していきますので、お楽しみください。

はるかなるもの、それはいつも目指されるものであって、決して手に入れ、手に取ることのできないものです。それは地平線を目指して歩いているようなものです。近づこうとしただけまた遠ざかっていきます。同様に、はるかなるものを目指すことは、一見、無駄な無意味なことのようです。しかし現実を現実として生かし、実感するのは、はるかなるものを目指し、その視野の中に現実を納めるときだろうと思います。
 現実の喪失感による痛み、かなしいまでの自己顕示欲、そしてそこから引き起こされる数多くの痛ましい事件。手近の愛情、さしあたりの解決、とりあえずの妥協。現実はそうしたものの積み重ねではありますが、「さしあたり」はあくまで「さしあたり」であり、「とりあえず」はあくまで「とりあえず」なのです。それを忘れて、親の愛情、家庭の事情、学校教育の問題点をあげつらっても、その論議もまたとりあえずのものになってしまうのです。
 本校で学ぶ生徒たちが現実にとりあえず対処する能力を身につけて欲しいと思うと同時に、はるかなるものを目指して歩み続ける者であって欲しいと思います。本校の特色の一つであるキリスト教に基づく宗教教育は、はるかなるものを目指して歩み続ける力の養成を担うものでありましょう。そのはるかなるものを、あるいは理想と言い、あるいは神と呼び、あるいはまた愛と称することもできるでしょうが、本校はそれを「人間の尊厳のために」と表現しているのです。
 愚かだと言われてもいい、現実離れしているとののしられてもいい、私ははるかなるものを目指して歩き続けるのだとの決意を秘めた人間として成長してもらいたい、それを心から願っています。そういえば、先日読んでいた本にこんなことが書いてありました。剣の達人は相手の目を見ることはしない。相手の目ではなく、相手の背後にある山を眺める。その眺めの中に立ち向かう相手を納めとるのだ。本校の生徒たちも自分の人生に相対するとき、そうした人物になって欲しいと思うのです。

2011年07月22日[278]

和歌山信愛女子短期大学

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